とても大きなラジオで電池を入れると2.5kgもあります。 基本はこの前作で大ヒットした吠えろクーガの短波部分を強化したもの。 発売は75年、ソニーがBCLブームの火付け役ICF5800の大ヒットを出してから2年半後でした。 トロピカルバンドと言われた南半球の放送も聴ける短波受信バンドを備え、吠えろクーガと同じ16cmの大型スピーカーを持ち、音も性能もソニーを凌駕してやるというナショナルの強い意気込みを感じます。 シルバーの高級感あるヘアーライン仕上げの前面パネルで、全体のレイアウトもダイヤルスケールも見易い、完成度の高いラジオです。 販売にも力が入っており、当時黒人の青年がこのラジオで米国の放送を聴いて涙を流すというTVCMがあったのを覚えています。ラジオのCMというのはこのモデル以外は寡聞にして知りません。 ナショナルはこののち、よりBCLに特化した傑作クーガ2200でビッグヒットを飛ばします。 小生がこのモデルを此方で出すのは5台目。メカ的にはギミックも多く良いラジオですが一方で毎回意外に感じるのは割と緩い感じの音です。前作の吠えろクーガはキャンタイプの大型パワートランジスタを2個も使うと言うオーディオアンプ顔負けの贅沢な仕様でしたが、此方は短波受信に重点を置いたためか、そこまで音質中心の作りでは無いという事でしょうか。 スピーカーはコーンに深さのあるタイプで良い音を出し易いと思うのですが、吠えろクーガは分割振動過多で多少煩く、一方で此方は音楽鑑賞には解像度が少し足りない感じの音です。これならば10cm程度のスピーカーの方がラジオとしてはバランスが良く聴ける感じでこのモデル以降で16cmスピーカーを使った物は大型ラジカセのみでしょう。 最近のラジオはスピーカーが精々45〜50mmですがデジタルで周波数が自在に弄れるし、アンプの性能も良いのでこのラジオよりもより深い低音が出せる物も有ります。一方で自然な音とは多少違う様で今でも旧いラジオが好まれるのはこの辺が理由でしょう。 この個体は機能、感度、音には問題無く状態も悪く有りませんがツマミ一個代替品なので 割安です。 このモデルで多いジャイロアンテナ折れが有りましたが、基礎部分を強固に接着し直して動作に問題有りません。回転、角度調整可能です。 タイマーもオンオフ共に精度は別にして動作。キャリングベルト、ACコード付。